消費増税議論において最も懸念されることは、国民に示される消費増税実施の判断基準となるべき統計等が、消費増税を正当化するものに捻じ曲げられ、それに基づいて矛盾した主張が平気で報じられていることである。それによって、殆どの国民は、客観的な情報に触れる機会を著しく奪われてしまっている。本著では、マスコミが余り報じない客観的統計等を示すことで、消費増税の旗振り役を担っている一部のマスコミで繰り返されている主張の、どこがどのように歪められているのかを明らかにし、多くの国民が客観的な判断を下す際の一助になることを願って書き下ろしたものである。
【目次】
はじめに
§1. 4~6月期GDPが物語る日本経済の実態
1. 消費増税実施へ第1関門を越えた?
2.好調な消費がGDPを押し下げた?
3.消費主導の景気回復の中で下落する「家計最終消費支出」デフレーター
4.期待に働きかけられていない「大胆な金融緩和」
§2.根拠の怪しい消費増税擁護論
1. 消費増税を正当化する「3本の矢」
2. G20で否定された「国際公約」
3. 債務国が、債権国に財政再建を迫るおかしな構図
4.消費増税を先送りすると長期金利が上昇する?
5.1997年当時とは違う?
6.1997年当時よりも日本経済の足腰は弱くなっている
§3.消費増税による景気悪化を食い止めるために検討される本末転倒の景気対策
1.効果を期待しにくい投資減税
2.日本版サブプライム問題を作り出す住宅対策
3.頭金なしでマイホームを購入出来るようにすれば、将来「自己破産」が増える
§4.消費増税をやる前にやるべきことがある
1.普段の税収は控えめに、消費増税による景気悪化は小さめに見積もられる財政試算
2.最も正しく徴収し難く、最も滞納率の高い消費税
3.消費増税より先にやるべきこと
終わりに